子供の頃必ず夏の終わりに見た赤とんぼの大群。すっかり見なくなってしまいました。いったい何処へ行ったのだろう。
なんて。原因は知っています。多くは除草剤、殺虫剤が原因ではないかと言われています。
トンボが卵を産む田んぼが安全ではなくなったのが原因です。
しがしこの前、偶然大群ではないものの赤とんぼを見ました。
田んぼの上を優雅に旋回する赤とんぼに思いを巡らせて今の農業や暮らしを考えます。[adsense]
今年、いやこの頃赤とんぼを見ましたか?
実はまだ秋の大群がやってくるには早いのですが、赤とんぼが見えなくなってもうしばらくたちますよね。
私が発見した赤とんぼはまだ孵化したばかりの物でこれから山に向かう所だったのだろうと思います。
もちろんまだ赤くなってはいませんでした。どちらかと言うとオレンジ色。
でもトンボが飛んでいたのはたくさんある田んぼの一枚か二枚だったんです。
どちらも有機栽培系の田んぼでした。片方の田んぼはカモを放し飼いにした合鴨農法と言われている物です。
これによって農薬を使わないか削減して稲を育てることが出来ます。
赤とんぼが減り始めたのは実は割と最近の事、1990年代でも中頃までは結構飛んでいました。
本格的にいなくなったのは2000年代になってからです。
当時原因として挙げられたのは水田の乾田化や中干し、耕作方法の変化などでしたが赤とんぼの減少が2000年代に始まり極めて急激なこと、減少に地域差があることから説明できませんでした。
そこで原因と考えられたのが90年代から使われるようになった稲の育苗箱に用いられる殺虫剤です。
水田を模した環境で殺虫剤の影響を調べたところ「プリンス」という殺虫剤を用いた場合はまるで羽化が見られなかったそうです。
その他、ネオニコチノイド系の殺虫剤を用いた場合でも使用しなかった場合の30%ほどの羽化にとどまりました。
古くから使われている殺虫剤の場合はあまり影響は無かったそうです。
環境に対する意識が低下しているのでしょうか?いいえ。全く逆です多くの農家は環境に対する意識を高めています。
ではどうして殺虫剤は使用され、赤とんぼは減少しているのでしょうか。
農家の高齢化とコメ離れー農業の効率化
私の知っている原因の大きなものは農業の高齢化と後継者不足にあります。米価が安くなり安定しないのも原因の一つかもしれません。
農家はちゃんとやりたいのだけれども手をかけていられないのですね。
だから私の家の周りにある実験的に農業をしている田んぼには、赤とんぼが群れ飛ぶのが見られる訳です。
でもそうしたスタイルはあまり手をかけた割には利益になりません。
意識が高くないとやってられないわけです。
一部の人達は里山プロジェクトなどと称して環境を再現するなどの活動も行っています。
環境に対する意識が高くなってきている2000年代になって赤とんぼが見られなくなるとは思っていませんでした。
”沈黙の春”は農業の機械化や近代化によるものだと考えていましたが高齢化なども関係してくるとは予想外でした。
日本の歴史から考えてみますととんぼは単純な虫ではありませんでした。
現在でも天皇陛下の一番大切な行事の一つである新嘗祭は穀物信仰につながっています。
とんぼは銅鐸などに見られるように害虫を食べるため田を守る神、または神の使いと考えられてきました。
とんぼが大群で飛んでも異常さを感じないのはそのためです。
言い方を変えればDNAに刷り込まれているわけです。
また家の周りを飛ぶ赤とんぼの群れを見たいですね。
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