クラブワールドカップ(CWC)で鹿島アントラーズがレアルマドリードに惨敗しました。さらにはリバープレートにも惨敗。敗戦の原因はどこにあったのでしょう?ポジショナルサッカーを例に内容を振り返ります。安部裕葵選手や内田篤人選手が衝撃を語っていましたが、個人的にはレアルの無駄の無さに驚きました。リバープレートもそれとは別によく考えられているチームだと思います。
私はただのサッカーファンで専門家ではありませんが、二つのチームがとても無駄のない数学的な考え方をベースに戦術を組み立てられている事が分かりました。
最近よく聞く「ポジショナルサッカー」を例に鹿島アントラーズの闘いを振り返ってみましょう。
レアルマドリードの選手の動きに見るポジション優位
ポジショナルサッカーは最近よく聞く言葉ですよね。いわゆる「5レーン理論」とか。
女子サッカーだと、男子サッカー以上にやったもの勝ちというところは大きいよね。ベレーザがこのような5レーンを使ってポジショナルサッカーを今年からやるようになり、他とは差がついてしまう結果がすぐに出てしまう。ベレーザとしてはまだ道半ばにもなっていないけども、男子とは違って元々の差が pic.twitter.com/Ue4W1M8iBV
— きーん (@KeaneKea) 2018年9月25日
View this post on Instagram今流行ってるらしい ポジショナルプレーっていうらしい。 とりあえず書いてみたけど、レーン幅が均等じゃない笑 よくわかってないから勉強します。 #5レーン#ポジショナルプレー
ピッチを5つに分けて考える方法です。真ん中と両サイドの間にハーフスペースと言うエリアを入れてピッチを5つに分けて考えます。
レアルマドリードの戦術がどのようなものなのか知りません。しかし、やはりトライアングルをどう作るのかといった所で強い影響を受けているとかんじました。
3つの優位とポジショナルサッカー
サッカーでは3つの優位があると言われています。
3つの優位とは、
◯ 量的(数的)優位(選手の数による優位)
◯ 位置的優位(ポジションによる優位)
◯ 質的優位(選手の能力による優位)
のことです。
ポジショナルサッカーはポジショニングによってこれらの優位性をを作るため戦術です。それにより、位置的な優位だけではなく、数的優位にすることができたり、質的優位を出しやすくなったりします。
「5レーン理論」は試合中にきちんと布陣が広がっている時や机の上で説明する時に使いますが、試合の中ではもう少し臨機応変に使われています。
例えばプレスをかけた時は半分位の範囲に選手が集まる事がありますよね。そんな時も位置的な優位を使って打開していくのが理想です。相手を外すことができれはまとめて抜く事ができます。
本質的に「ポジショナルサッカー」はこちらが位置的優位な状態のトライアングルを作る方法だからです。
ポジショナルサッカーの条件は以下の通り。
◯ 1列前の選手は縦に並ばない(斜めに位置する。完全に後ろを向かない)
◯ 2列前の選手は同じレーンに並ぶようにする
◯ 1列前の選手は適切な距離感を保つために隣のレーンに位置する事が理想
原則ではありませんが、優位性を取りやすくする方法として、
◯ 常に相手よりも先に判断する
◯ 常に相手よりも先にポジションを取る
◯ できるだけシンプルにに簡略化してプレーする(速くプレーする)
◯ ボールを受けた選手はできるだけ前を向く(マークなどを確認して)
◯ 選手はゴールに対して完全に後ろを向かず、必ず角度をつける(半身など)
◯ パスはターンしやすいように角度をつける(斜めに出す)
◯ マークがある時は前を向いた条件のいい選手をシンプルに使う
◯ プレスを受けた時もできれは位置的優位な選手を使う(逆サイドなど)
◯ 背が高い選手は背の低い選手を狙う(ヘディングなど)
◯ 足が速い選手は足の遅い選手を狙う
◯ 技術的に優れた選手は一対一が弱い選手を狙う
◯ 守備が苦手な選手がイエローカードを受けたらそれを狙う
◯ メンタルに問題がある選手はそれを狙う
◯ できるだけ少ない人数、少ないタッチ数でシュートまで行く
などがあります。
ポジショナルサッカーについては色々な人が考察しています。
今回の鹿島とレアルの対戦では、鹿島の選手を外す動きの中でポストプレーがほとんどありませんでした。前を向くというプレーがなく、その分だけプレーが簡略化されています。
斜め前に走る選手にボールがピタリと合っているんですよね。もちろんポストプレーがないわけではありませんが。試合の流れや相手のマークを見ながらかなり意識的に行われています。(ロングハイライト動画)
この試合ではクロースとモドリッチがパス交換しながらシュートに行くシーンまで(30分ぐらいまで)はレアルは効果的に動けていないように見えます。
単にウォーミングアップができていなかったのかもしれないし、守備のポジションを歪めないようにしながらシュートまで行く動きがつかめていなかったのかもしれません。本当の所は分からない。
レアルの場合は個人能力がとても高いのでポストも必要ではないんでしょうが、もう少し個人能力が低いクラブの場合はシンプルに落とすことで機能させています。有名なのはナポリなど。サッリのナポリでは「W」の字を書くようにパスがまわっていますよね。(サッリのナポリ ※動画)
シンプルに相手のセンターバックを引き出して、いい位置で前を向いている味方に落とす。(サッリのナポリ ※動画)
つまり、彼らがとても速いのは戦術による部分が大きいと思います。
アントラーズの選手のポジションは彼らに比べると「???」という部分が多い。
サイドで縦に並ぶシーンがあるのはもちろん、そこから横にドリブルをしたりする。
そりゃ捕まるわな…。
解説をやっていた岡田監督やテレビで試合観戦した我々と、実際にプレーした選手達の言うことがかなり違っているのが面白いですよね。
ピッチを俯瞰できると見え方が全く違う。レアルの選手たちが視野から外れて動いていることがわかります。
鹿島対レアルの1点目はマルセロとベイルのワンツーでした。ここでも斜めに走り込んだベイルにピッタリあっていますね。他のシーンでもボールホルダーから斜めに離れるような動きでパスを受けるシーンが沢山あります。
余計なプレーが無いので全ての動作が速い。「ここでボールを止めて」とかがない。
阿部選手がプレー強度がものすごく高いと言っていましたが、判断のスピード、プレーのスピードがレアルと同等にならないと比較するのは難しいかも。まぁ、今の所無理ですが。
鹿島対リバープレートも惨敗に終わる
こちらもホームで闘わなければこんなところでしょうか。いつも通りの敗戦でしたね。
南米勢と本拠地ではない中立地で試合をするとまだまだ勝てません。この結果を見てもコパ・アメリカが厳しいのは分かりますよね。
リバープレートの監督はマルセロ・ガジャルド。ビエルサ監督に影響を受けたとか。アルゼンチンのチームによくある縦に速いグイグイくるサッカー。
基本的にはガッチリ守って縦に攻撃っていう感じ。これぞアルゼンチンみたいな。
グイグイくるのは分かっていたと思う。でも守り辛いんだよなぁ。
こちらも斜めに走り込んで来るシンプルなサッカー。アントラーズはずっと後手を踏んでいた印象です。
キーパーの怪我もあり四失点してしまいましたね…。ゴリゴリ来られて…アルゼンチンらしい攻めでした。
最初の失点は不運もあったと思います。それからPKでⅠ失点。さらに相手の10番「ゴンサロ・マルティネス」のスキルから2失点しています。
ゴンサロ・マルティネス選手はちょっと浮き気味の逆サイドにポジションしていました。スキルを使う前に半分勝負あり、と言う感じ。ここでもポジションの良さがキーじゃないかなぁ。突破から点を取られそうな場面は結構あったんですけどね。
逆にアントラーズもバーに当てたシーンが3回?ありましたよね。入りそうな感じは無かったけどね。アントラーズはじりじりと押し切られて…くやしいですね。
相手に遅れていたり、間に入り込まれたり、捕まえきれなかったり…。守備に課題を感じさせた試合でした。
個人的には日本の組織的な守備には問題があると思っています。もっとできるはずです。
Jリーグにスペイン人監督が3人? 戦術トレンドに変化
楽天の三木谷さんではないですがリーガファンが多い日本。DASNマネーの影響もあり、選手だけではなく、監督にもお金を使うようになっています。
神戸のリージョ監督、セレッソのロティーナ監督に続いて鳥栖にもカレーラス監督が就任。
カレーラス監督はバルセロナやアトレティコで選手経験があり、パスサッカーの信奉者なのだとか。
なんかJリーグのスペイン化が激しくなってきましたねぇ。ロティーナ監督はヴェルディを入れ替え戦に進出させた監督です。
カレーラス監督は元日本代表の鈴木大輔選手の指導経験があり、トーレス選手とは一緒プレーした経験もあるみたいですよ。
まぁ、ロティーナは名将、リージョは有名、カレーラスはよく分からない…。てな感じ?
リージョは解任されたりしているので、神戸が強くなるかと言えば、必ずしもそうじゃないかなぁ。
でも「ポジショナルサッカー」など最新の戦術をJリーグにもたらしてくれるはずです。
イニエスタから見た日本サッカーの課題とは
神戸に移籍してきたイニエスタ選手も「ポジショニングなど戦術の面ではまだ改善の余地がある」と語っています。
「5レーン理論」や「ポジショナルサッカー」は日本人にピッタリだと思います。戦術や技術のレベルアップにつながるはずです。
守備のグレードアップをしてほしいんですけどね。個人技術や戦術も含めて。一年目はどこから手を付けるのか注目しています。
川崎と名古屋は風間流、神戸、セレッソ、鳥栖はスペイン流、コンサドーレはミシャ流…なんか点の取り合いになりそうな雰囲気がプンプンしています。
優勝した川崎は相手をプレーで攻略してパスを回す戦術なんですが、ポジショニングだけで相手を振り切れる局面もたくさんあると思うんですよね。川崎のコンセプトが他のチームを上回っているので、問題がでてこない。来年は楽しめそうですね。
DAZNのおかげでお金の回りがよくなって、色々なチャレンジがされるようになってきました。
勝利は金で買えるのか?サッカーの場合は「イエス」です。イタリアでもイングランドでもスペインでも、お金を掛けたチームが優勝しています。ただし、一年目から勝てるほどJリーグも甘くはないでしょう。どのチームが結果を出すのか見ものですね。
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