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アジアカップ2019で日本代表がカタールに敗戦 原因は戦術とポジショニングにあり

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アジアカップの決勝戦が行われ、日本代表がカタールに「3-1」で敗戦。シャビの予言が的中しています。直接の原因は、乾貴士選手が指摘するようにカタール代表の3バックに日本代表の2トップが「はまらなかった」こと。これによりポジショニングのズレが発生し、中盤で優位に立たれてしまいました。その結果、前半に2失点して試合の流れは決まってしまいました。

しかし、問題はなぜそうなったのかと言うことです。油断していたのでしょうか? いいえ、それだけではありません。シャビの狙いと日本代表のアジアでの立ち位置を結果から振り返ります。

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アジアカップの決勝戦で、日本代表がカタール代表に敗戦

実に悔しい敗戦でした。結論から言いますと、日本代表が「アジアで最新の戦術を使っているわけではなかった」と言うことです。

Jリーグが始まって以来、アジアのサッカーの最先端を走っていたのが日本代表です。しかし、今回のアジアカップでその座が怪しくなってきました。

試合の流れを振り返りながら、「戦術的な敗戦」について考察しましょう。

かつて日本代表の主力だった戸田和幸さんがカタール戦について解説している動画があります。参考になるので、以下のリンクから参照して下さい。

カタール戦解説動画 その1

カタール戦解説動画 その2

 

試合が始まってすぐに「これは危ないかも」と思ったのを覚えています。理由は相手がボールをキープして攻め続けていたからです。

そこまでなら「さすがシャビが言っていただけはあるな」で済んでしまうところだったんですけど…。

その流れの中で警戒していたFWのアルモエズ・アリに決められてしまいます。12分のことでした。オーバーヘッドキックで派手に決められました。

ゴールはもちろん素晴らしかったのですが…。少しスローな感じで不思議なゴールでしたね。虚を突かれたというか…。

この失点はとても残念でした。一番警戒していた相手に決められてしまったからです。吉田選手やゴールキーパーの権田選手が批判されています。どれもうなずける意見ですが、根本的な理由は他にありました。

それについては乾選手が指摘しています。「2トップで3バックを見ていた。それだと絶対にはまらない。気づいていたのに言えなかった」(記事を参照)

大迫封じと言われていましたが…。確かに狙いの一つだったでしょう。でもそれだけではありません。

日本代表がしたかったようにポゼッションされ、決められました。相手の狙い通りだったと思います。

カタールの監督、フェリックス・サンチェスはバルセロナで育成コーチをしていたそうです。

シャビと彼はカタールにアスパイア・アカデミーを作り、選手を育成してきました。もちろんワールドカップを見据えてのことです。

今回のアジアカップの優勝は偶然ではなく、育成の結果なのです。シャビがカタールに移籍したのは2015年の6月です。最近のことだと思っていたのですが…。

Jリーグが発足して25年以上が経過しました。日本代表はアジアカップで最多優勝回数を誇っています。ところが、シャビとフェリックス・サンチェスは四年に満たない期間でそのチームを上回って見せました。

バルセロナの戦術は「偽9番」が有名です。守備の網にかからないフリーな選手を作り、ボールをポゼッションする戦術です。

マンチェスターシティのグアルディオラ監督が完成させたやり方です。他にも「偽サイドバック」なんかが有名です。

今回も「それ」をやられてしまった感じです。本当に狙っていたのは「大迫選手」だったのでしょうか?

いいえ、この戦術はもっと総合的です。日本代表がカタールの3バックに対応して来たら、別のシステムに変えてきたでしょう。

その場合は前線の選手が下がってきたかもしれません。まぁ、見ることができなかったので分かりませんが。どうにかしてフリーな選手を作り、その選手を使ってポゼッションをしたはず。

この辺りは、アントラーズ対レアルの試合を例に説明しました。「ポジショナルサッカー」「5レーン理論」というやつです。

試合開始とともに「先にポジションをとられ、ボールを回されていた」と言う状況が問題なんです。

そして、そのまま修正できず、2失点目を献上。これが一番腹が立ちました。最初の失点は相手の布陣も分かりません。だから出会い頭の事故のような失点もあります。

でも2失点目は明らかに違います。修正できる機会を無駄にし、試合を難しくしてしまいました。

ゴール自体はとてもいいシュート。ゴラッソです。しかし、日本代表にはいらない失点でした。防ぐ機会もあったはずです。

今回の試合はこの時点で勝負あり。結果論ですけどね。試合はこの後、膠着状態になります。これも相手の狙い通りだと思います。

後半は相手を一対一でつかむ形で試合が進みます。これにより日本ペースになりました。でもこれも相手の狙い通り。

証拠は、日本代表が相手のゴールに近づくほどスピードダウンすることです。相手は分かっていたんですね。

日本代表はうまくいかないと自分達のやり方に固執する傾向があります。つまりペナルティエリアに侵入しようと短いパスを繰り返す傾向にある。

一番ゴールを決めやすいエリアを目指して、なんとなくパスサッカーをしてしまう。

いつもシュートを打つのは同じエリア(ゴール前)です。セットプレーも正確なだけで工夫がありません。

カタールはそのパスをカットすることを狙い、ゴール前を固めていました。

日本代表も南野選手が鋭いターンから1点決めました。彼の素晴らしいスキルからの得点でしたが…。

あの場面で見てほしいのは、南野選手が後ろを向いてしまっていることです。もちろんスピードに乗っているわけでもありません。

アントラーズ対レアルの試合でギャレス・ベイル選手が決めた得点と比べてください。マルセロ選手からのパスをスピードに乗った状態で受けてゴールした場面です。

南野選手は素晴らしいターンから得点しています。

しかし、南野選手は「素晴らしいターンから得点を決めた」のでしょうか? それとも「ゴール前でターンしなければいけなかった」のでしょうか?

わずかな差のように見えますが、ゴール前では大きな差になります。本当は「得点を決めるだけ」という状態が一番いい。

一番難しいゴール前で何かをしなければフリーになれない。本当は相手を振り切っているべきなんですね。イラン戦と比較すれば分かりやすいと思います。

もちろんカタールはそのエリアで減速するように守備を固めていますが…。常に先にポジションを取られています。

後半の45分間だけをみると、1対1のイーブンです。これが日本代表の実力だったと思います。判定も含めてになりますが…。アウエーなので仕方ありません。

やはり、前半の2失点がいらなかったですね。それがなくても優勝できていたかどうか…。そんなレベルの試合でした。

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日本代表はすでに戦術で抜かれている

カタール代表は試合開始からフリーな選手を使ってポゼッションできました。だから、カタールの戦術がどれほど「奥行き」があるかわかりませんでした。残念です。カタールはまだ強くなりますね。

「偶然じゃないの」と思うかもしれません。そうじゃないんですよね。

何故かと言うと、この戦術は相手よりも先に判断し、先にポジションを取らなくては成立しないからです。

つまり「時間軸」で相手を振り切ることがこの戦術のポイントの一つなんです。

サッカーには4つの方向があります。「3D+t」です。「縦、横、高さ+時間」と言う組み合わせですね。このどれかで相手を振り切るとフリーにになることができます。

戦術的ポジショニングは常に先に判断することを軸としています。そして先にポジションを取る。人と人の間に降りてきたり、守備の選手が攻撃のポジションに入ったり。

ボールを持ったまま突っかけたり。あるいはボールを持ったまま逃げたり。攻撃の選手がマーカーを引き連れて降りてきたり…。

ただ、一番いいのは相手を抜き去ることです。簡単に数的優位を作ることができる。

だから、試合の流れや相手との力関係を見抜いて仕掛けることになります。

一番いいのは相手の急所を突いてシュートを決めること。あるいは相手を抜き去ったり、外すこと。

それをファーストチョイスにしながらポジショニングをする。攻撃のポジショニングはそのまま守備のポジショニングになっている。そして失点せずに試合に勝つことを目指す。

これが「ポジショナルサッカー」です。もう日本代表は戦術的に相手に抜かれていると考えていいでしょう。

日本代表はアジアで最先端のサッカーをしていると思っていました…。早めに対処しないと、傷口が広がっていくかもしれません。

まぁ、あまり心配はしていません。今年からJリーグに3人のスペイン人監督がやってきました。「ポジショナルサッカー」もメジャーになっていくでしょう。

日本代表の何が問題なのでしょうか。それについて考察してみましょう。

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世界の最新戦術でアジアの序列が大変動

良くも悪くも、金で勝利を買えるのがサッカーです。(優秀なコーチや育成組織を作ることも含めて)

批判もありますが、弱かったチームが突然強豪になるのは夢があります。全く未来を予想できないし、何があるのか分からない。それがサッカー。

オーストラリアに目立つ選手がいなくなり、競技力が低下したのも影響し、アジアの序列が大変動をしています。

その中心になっているのが中東です。どの国もめちゃくちゃお金をかけている。

まぁ、資格が怪しい選手がいるのはご愛嬌なのですが…。

カタール代表が「手段を選ばない育成」で成功するとは考えていませんでした。

世界は本当に奥が深く、面白い。

 

森保監督と日本代表の戦術については前の記事が参考になります。まだこの頃は調子が良くて希望にあふれていたなぁ…。

 

森保監督は、ミシャ監督の後を受け継ぎ広島の監督になりました。その後の活躍は知っている人も多いでしょう。Jリーグを3回優勝に導いています。

森保監督の戦術は、攻撃的なミシャ監督のサッカーをバランス良くしたものでした。つまり守備的な戦術です。

その頃の布陣は「3-4-3」でサイド攻撃に特徴がありました。実は今回もサイド攻撃を期待していたんですけどね。

試合の後半に「3-4-3」にしてサイドをどんどん追い越して行くと思っていました。サイドができる選手を集めているように見えたので。

守備はゾーンで守っているようですね。それについてはこちらの記事が参考になります。戦術的にはかなりオーソドックスかもしれません。

かつて、ゾーン守備が全盛だった時代がありました。モウリーニョ監督がスペシャルワンと言われた頃です。しかし、今では時代遅れになりつつあります。

グアルディオラ監督を中心とする「ポジショナルサッカー」がゾーン型の守備を打ち破り、結果を残してきました。

更に、リバプールのクロップ監督が「ストーミング」という新たな概念の中心にいます。香川選手のいたドルトムントでゲーゲンプレッシングをやっていた監督です。プレミアでさらに強烈になりました。

超アグレッシブなディフェンスでボールを奪い攻撃するスタイルです。ボール保持にこだわらないという…。

これらの戦術により、ゾーン型の守備は時代遅れになりつつあるんですね。ではどんな形の守備がこれからの中心になるのでしょうか?

それがですね、「守備の形」ではないんです。むしろ、「どうやってゲームの主導権を握るか」といった部分を争うようになっています。

「ポジショナルサッカー」は先に判断し、先にポジションを取る。

ゾーン型のディフェンスはどうしてもリアクションで動きがちで、常に先にポジショニングされてしまいます。つまり後手を踏み続けることになります。

先手を取って動いている時すでに「ポジショナルサッカー」は相手を半分抜いている状態と言えます。

後はいい状態を見つけて(多くの場合はサイドとか裏とか)相手を外せばそこからは数的優位な状態でプレーできる。

数的優位になったら後は自在にスキルを使えるようになって…。とゲームが進行していきます。

もちろんゾーン型の守備でもアグレッシブにやれば主導権を渡さずプレーできます。しかし、90分続けるのは難しい。

どこかで後手を踏んでしまう。そうすると相手は先にポジションを取るようになり…。従来のゾーン型守備では難しくなりつつあるんですね。

新しい戦術トレンド「ストーミング」

ストーミングはプレッシングでボールを奪うことで相手から主導権を取るやり方です。「守備をする」のではなく、「ボールを奪う」戦術。

時間軸の扱いが普通のゾーン戦術と異なり、ボールを常に奪いに行き主導権を握ります。そして、相手の守備ゾーンを飛ばして一気にゴールへ。これが特徴です。

他にも強い守備からのカウンターが中心のフランス代表がありますよね。やり方は違いますが、どちらも相手の守備ゾーンを攻略するのが目的です。

ただ、ストーミングはアジアではキツイかもしれません。とても暑かったり、標高が高かったりしますからね。現実的ではないかも。

「ポジショナルサッカー」にしても[ストーミング]にしても主導権を取りに行くのが戦術の最先端だと言えます。

ただ、主導権の取り方が違います。「戦術的なポジショニングによるボール保持」が目的なのが「ポジショナルサッカー」です。

「ストーミング」は「素早いボール奪取と得点に直結するエリアでのプレー」が目的です。相手の構築された守備をかわすのが目的です。主導権をエリアとプレーで考えている。

相手のプレーを殺すことばかり考えていては後手を踏んでやられてしまう。それが今の戦術トレンドになりつつあります。

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アジアカップに見る日本代表の問題とは

日本代表の抱える問題は何でしょう。それは、時代遅れなことです。いまだに守備のポジショニングを中心に戦術が考えられているように見えます。

今回の試合で表面化したものを上げてみましょう。

  1. 決勝戦なのに「なんとなく」試合に入ってしまった。
  2. 失点したのに、守備を修正できず続けて失点。
  3. 修正し、相手を掴んだが、先手をとれない。
  4. 相手をどこかで振り切らないといけないが、修正ができない。
  5. アウエーの笛もあり、そのままの流れで敗戦。

こんなところでしょうか。まだありそうですが、目立ったものを上げてみました。一つ一つみていきましょう。

決勝戦なのに「なんとなく」試合に入ってしまった

これは「致命的」なことです。ところが、日本代表はいつもやってしまいますよね。目の前の試合はどのような価値のある試合なのでしょうか? また、その試合はどのようにプレーすべきなのでしょうか? 今回も決勝戦の価値を理解せずに試合を始めてしまいました。

決勝戦ですよ? ブサイクでも勝てばいいんです。なのに練習試合のように試合を始めてしまう。

相手に対して自分達がうまくプレーできないかもしれません。あるいは、相手のプレーが上回るかもしれません。今回のように戦術で振り切られるかもしれません。そんな時に「最低でもやるべきこと」を決めていないように見えます。

多くの失点の前には「失点前状態」というものがあります。今回の最初の2失点はいずれも「失点前状態」がありました。まぁ、たまに無いものもありますが。

「失点前状態」とは、今回の場合は「相手がパスをつないで先手を取り続けている」状態のことです。

これを敏感に察知しなければいけなかったと思います。

勝利にこだわるのなら、相手をつかまえた状態で試合を始めなければいけなかった。残念なことに、今回の日本代表の戦術は相手の先手を取るようにはできていません。

相手を振り切るのは選手任せになっている。でもいいんです。アジアでは多くのチームがそういう戦術だから。いまのところ仕方ありません。

先手を取ってプレーできないのなら、振り切られることを防ぐしかありません。サッカーでは五分五分の状態はほとんどありません。こちらが先手を取っているか、それとも相手なのか…。

試合開始の時には相手の布陣や戦術がわかりませんよね? だから、布陣や戦術で振り切られることに注意しないといけなかった。

そんな時に、「なんとなく」試合に入ってしまう。相手との力関係もあったかもしれません。大丈夫だと思ったのでしょう。だから「致命的」なんです。

この時点でこの試合の流れはほぼ決まってしまいました。これが「シャビの予言」の正体だと言えるでしょう。

失点したのに守備を修正できず続けて失点

これも「いつもの日本代表」です。ロシアワールドカップを思い出してください。失点しなかった試合はゼロでした。

しかも勝利したのは1試合だけ。2失点以上した試合は勝利できていません。

今回のカタール戦では、90分間で1得点でした。それだけ得点するのは難しいんです。もし勝利することを前提にするなら、1失点以上してはいけません。

ちなみにアジアカップでカタール代表の失点は1点だけでした。そう、南野選手の得点だけです。攻撃的な戦術を取っていても守備が弱いわけではないんです。

それなのに失点について鈍感すぎでしょう。1失点した時点で、試合のコンセプトを変える必要がありました。こちらが主導権を取りに行く状態から、相手の組織的な攻撃を止める状態へ。

しかし、判断することが遅れてしまいます。試合開始と同じようにプレーし、連続失点してしまいます。これで勝利するのがとても難しくなってしまいました。

失点には多くの場合、「失点前状態」があると言いました。無いものもあります。例えばキーパーのキックがそのままゴールインとかね。(笑)

最近の失点ですと、「ロストフの14秒」がそれに近いでしょう。本田選手がキックする瞬間から、ゴールが決まるまでの14秒間です。その中に失点を防ぐ事ができる瞬間がいくつかありました。しかし、どれも時間的に短すぎますし、紙一重のものが多かった。「失点前状態」がなかったので強い衝撃をうけましたね。

今回のカタール戦では、十分に対処できる時間がありました。それだけに不満が残ります。

ちなみにカタール代表の守備の強さは戦術によるものです。守備の網を構築しながら、先手を取って攻撃しているんですね。だから、攻撃でボールを失った瞬間に守備の網ができている。バルセロナ流の「ポジショナルサッカー」です。

シャビはいい監督になりそうですね。しかし、雇うのはとても高価でしょうけど…。

これを破るには例えばボールを取ったら相手をの守備ゾーンを「すっ飛ばす」と効果的だったりします。リバプールとかね。でも今回のカタール代表は引いてきたので、あまり効果的ではなかったかもしれません。前線の高さとスピードに問題もありました。

日本代表の場合は連携しないと振り切れませんからね。武藤選手や伊藤選手が頑張っていましたが…。

ロシアワールドカップを振り返ると現在の問題も見えてくるかもしれません。「ロストフの14秒」については以下の記事を参照してください。

 

前半に2点決められたので、日本代表の実力が劣っているように見えます。実際には日本代表の方が実力は少し上だと思います。

では、戦術以外でカタール代表と日本代表の違いはどこにあったのでしょう。

分かりやすいのは身体能力でしょう。手足が届く距離、ボールをコントロールできる範囲が違います。それから、シュートを決める距離が違います。

これにより実現可能なプレーの種類が多いんです。特に前線の選手は個性が被らない。だからプレーに多様性があるんですよね。

カタール代表は少ない人数でゴールを決められるように組織が設計されているようです。

最初の失点はアルモエズ・アリ選手のプレーの多様性から生まれたもの。2点目のミドルシュートはアブデルアジズ・ハティム選手のシュートエリアの広さがポイントです。

個性が被らず、できるプレーが多い。だからチームの選択肢が広がります。

日本代表の前線は特徴の似ている選手が多い。その中で、ポストプレーをする大迫選手は役割が別です。

連携して攻撃するための時間調整とパス出しです。以前は本田選手など、司令塔のポジションがありました。この代表からなくなっています。

司令塔が必要かどうかは実現したい戦術によりますが…。カタール代表と日本代表の間に大きな実力差はありません。個人的には、やや日本代表が強いと思います。

ただ、プレーのバリエーションは増やしていかないといけません。特に必要なのは、速攻、高さ、強さ、ミドルシュートでしょうか。

これからに期待しましょう。

修正し、相手を捕まえたが、先手をとれない

2失点した後に相手を捕まえることができました。「時すでに遅し」だったと言えるかもしれませんが…。

それでも試合は終わってはいません。90分が終わるまで全力を尽くし、勝利を目指します。それが「日本代表らしさ」というものです。

とはいえ、この時点では守備の穴を塞いだ状態です。しっかり相手に対応できるようになったのは後半からでした。

個人的には前半から対応できるようにしてほしいのですが…。それには選手一人一人の試合を読む力や判断力がもっと必要です。

後半は、日本代表らしいサッカーでした。「これこそ本当の試合」と言う内容だったと思います。

後半だけ見れば「1-1」です。失点も怪しい判定から。もっとも「中東の笛」は織り込み済みでなければいけません。ですから、後半が本当の試合内容だったはずです。

敵地(アウエー)での試合なので勝算は五分五分だったと思います。やはり前半の2失点はいりませんでした。

相手をどこかで振り切らないといけないが、修正ができない

カタール戦のレポートの多くで「後半は日本のペース」と書かれています。見たままならその通りです。でも、スピードはペナルティエリアに近づくほど遅くなっています。相手は準備ができているんですね。

日本代表は「なんとなく」ペナルティエリアの中央に向かって攻撃してしまいます。もちろんそのエリアが一番得点になりやすいのは間違いありません。

しかし、相手もそれは織り込み済み。カタールの狙い通りだったはずです。技術は高かったですが、効率的な攻撃ができていません。

相手が先に守備のポジショニングをしていました。縦パスは増えましたが、クオリティは高くなかった。ポストをする選手が真後ろを向いているシーンが目立ちました。

攻撃で狙うエリアがいつも同じなので守備がしやすいのでしょう。

もっとフリーの状態をうまく使うべきでした。ミドルシュートとかね。

崩しでも工夫が必要だったと思います。サイド攻撃では単純にカットインするシーンが目立ちました。サイドバックと連携して相手を剥がし、ハーフスペースに侵入したり、ボールを持って突っかけたり、ボールを持って逃げたり。

サイドバックと連携するなら、乾選手をもう少し早く交代させても良かった。

相手を振り切るなら、一人抜けば数的優位になります。これが一番簡単な方法。後は裏に抜けたり、インターセプトしたり。

裏を狙うのは相手が引いているので難しい。攻めてこないのでインターセプトは無理です。

先にポジショニングされるととても厳しいのがわかりますよね。

2失点してしまうと相手は引いてしまいます。その状態では先手を取るのは難しいでしょう。カタールの進化はどれくらいだったのか…。今回は分かりませんでした。もう少し力を引っ張り出すことができれば面白かったのですが。

でもあの状態で南野選手が点を決めています。アジアカップでカタール代表が初めて失点したシーンでした。

 

アウエーの笛もあり、そのままの流れで敗戦

VARの判定でもう1点取られてしまいましたが、これは中東ではありがちなことです。

だからもっと失点に敏感にならなければいけなかった。今回の負けはアジアを舐めていたのが表面化したもの。

今の戦術は相手の先手を取る動きが主流になりつつあります。それぞれのチームで違うやり方なので、どの戦術が主流になるか今のところ分かりません。

しかし、日本代表のこれまでの戦術を参考にするなら「ポジショナルサッカー」を取り入れていくのがいいかもしれません。

 

王族が全てを決めるカタールがこのまま順調に強化できるのかは分かりません。

一時的な結果にせよ彼らがアジアで一番になったのは事実です。これからはさらに戦術的に上回るチームが現れてくるかもしれません。

 

 

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